愚者の能書き

愚か者が愚かなりに考えたことを記録する

今日、猫と決別した

伊達に「岩合光昭の世界ネコ歩き」を観ているわけじゃない。
暖かいところ。
視界が遮られるような囲まれているところ。
猫はそういう場所が好きだ。

飼い猫の話じゃない。
野良猫の話だ。

バイクにカバーをかけるのは常識で。
エンジンを止めたばかりのバイクが熱を持っているのは当たり前で。
冬の短い日差しのおかげというのもあるだろう。
しばらく前から、猫がカバーの内側、シートの上に居座っていた、らしい。

らしい、というのは、姿を見たことは一度もないからだ。
いつも汚れた足跡と、数本の毛が残されているだけで。
どんな色の、どんな大きさの、どんな性格の猫なのか、なんていうのはさっぱりわからない。

まあ、わからなくても良かったのだ。
実害はなかったし、きっと、たぶん、可愛いし。

週末が来て、さあバイクに乗ろうとカバーを引っぺがすと、ふてぶてしくも居座った形跡が残されている。
それが僕と猫とのコミュニケーション、じゃないけど、なんだ、一方的な私信みたいな。
そういうのがそう、昨年の12月くらいから続いていたのだけれど。


今日、有休が取れたので、さあ乗るぜ、とバイクのカバーを引っぺがしてみると。

なにやら液体が残されていた。

いや、なにやら、じゃないな。
もうその時点でそれが何かはわかっていたのだけれど。
仮とはいえ塒に粗相はしないと、信じたかったのかもしれない。

理科の実験の時に習ったのを覚えているかな。
臭いのキツイ、アンモニアのような劇臭のする薬物の場合もあるから、直接臭いを嗅いではいけない。
試験管の上で手で扇ぎ、その臭いを嗅ぐのだ、と。

すごい臭いだった。

臭いのは言うまでもないのだが、なんだろう、分類できない名状しがたい、クサイが混淆した臭いだった。
獣臭さ、アンモニアっぽい臭い、汗臭さ、埃臭さ、何かが黴たような。
そういうアレだった。

衛藤ヒロユキが著書「魔方陣グルグル」の中で、ガッツのある臭さ、と表現した理由がわかった。
とてもガッツのある臭さだった。

僕と、彼か彼女かわからないけれど、とにかく二人の蜜月はこうして終わることになった。
否、僕が一方的に終わらせることにした。
猫の方が僕に三行半を突きつけたのかもしれない。

まずは、シートをファブリーズしてバイク掃除用の雑巾で拭いた。
何度も嗅いでいるうちに、ファブリーズの臭いなのか、尿臭なのか、わからなくなった。
或いは僕の鼻がもうその臭いに対する感受性を落としてしまっただけなのかもしれない。

シートをよく見ると、わりとたくさん、爪の跡があった。
引っかき傷になっている箇所は一箇所しかなかったが、やはり爪を立てずには登れなかったんだろうな。

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シートのあちこちに小さな穴が空いていた。

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クッションまで貫通していないことを祈った。
これはあとで、瞬間接着剤か何かで塞ぐことにしよう。

次に最寄りのホームセンターへ向かった。
ネコよけグッズとして、踏むと痛いトゲトゲシートと、犬猫が嫌う臭いを放つ顆粒を買った。
奴を、もう二度とシートの上に上がらせるつもりはなかった。

家に帰ると、元々予定していた清掃と整備を行った。
こうしてブログにアップする用の写真を撮ると、駐車場へ向かった。

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バイクを所定の位置に停めると、例の顆粒を周囲にばらまいた。
注意書きに書いてあったのと違う使い方だったけど、構うものか。

もう僕は、来週バイクのカバーを引っぺがしたとして、そこに猫が居た形跡を見ても、喜ばないのだろう。
憎しみを抱いたりはしなかったけれど、これで猫が嫌いになったわけでもないけれど。
可愛いんだけれど。

猫は、見ているだけで十分。